BOOK


『ふらっとライフ』は、大阪府立大学工業高等専門学校で取り組まれている人権&セクシュアリティ教育「ふらっと高専」の指定教材です。ふらっと教育パートナーズが制作した教育プログラム用のテキストになります。家族、教育、性、労働、ルーツ。それぞれの背景をもった執筆者たちの声を聴き、「理不尽でない普遍的な社会の土台」について考える、新しい人権&セクシュアリティ教育の教科書です。


書籍名:ふらっとライフ それぞれの「日常」からみえる社会
    ふらっと教育パートナーズ(編者)、伏見裕子(編者代表)
発行:北樹出版
   A5判 縦210mm 横148mm 160ページ
   価格 1,900円+税
   ISBN 9784779306273
   Cコード C0036
   一般>単行本>社会


<執筆者>
各章:伏見裕子・古川恵美・川﨑那恵・土田陽子・藤根雅之・仲岡しゅん・中山良子・住田一郎・松波めぐみ・片田孫朝日・春日匠・中田裕一

コラム:鯵坂誠之・鎌倉義雄・橋爪裕・東優子・楢崎亮・高橋舞・金田忠裕・宮崎紗織・木村尚子

<北樹出版ホームページ>

http://www.hokuju.jp/books/view.cgi?cmd=dp&num=1141&Tfile=Data


【目次】

はじめに 


序 章 二つの「あたりまえ」と「ふらっとライフ」(伏見裕子) 

  1 二つの「あたりまえ」  

  2 「人間としてのあたりまえ」を実現していくプロセス  

  3 「理不尽」をめぐる対話  

  4 いろんな人が関わる「補修工事」  

  5 「ふらっとライフ」とは?  


〈第1部 家  族〉
第1章 いろいろな家族のかたち
    ――ステップファミリー、養子縁組家庭を中心に(古川恵美)

  1 さまざまな家族との出会い  

   (1)保健室での出会い  

   (2)子どもからの家族関係に関する相談  

  2 親の再婚で家族になる  

   (1)ひとり親家庭やステップファミリーの増加  

   (2)新しい家族が加わるという緊張感  

   (3)家族になるための工夫~ある継父と継子の語りから  

  3 血縁関係のない親と子で家族になる  

   (1)里親制度を広める取り組み  

   (2)養子縁組制度とその他の里親制度の違い  

   (3)「生い立ちの授業」  

  4 自分の家族観をこえて  

第2章 誰とどんなふうに暮らしたい?
    ――部落問題を学んで考えた“家族”のかたち(川﨑那恵)

  1 浅香地区の話  

   (1)記憶のはじまりにある懐かしい町  

   (2)浅香の部落解放運動  

  2 差別との出会い、葛藤  

   (1)引っ越しを機に言われたこと  

   (2)大学で部落問題を学ぶ  

  3 葛藤と向き合い、乗り越える  

   (1)カミングアウトをめぐって  

   (2)両親の選択と私の生き方  

  4 部落差別とは何か  

   (1)家族からの呪縛  

   (2)部落差別を下支えするもの  

   (3)個人を抑圧しない生き方の模索  

   (4)問題を学ぶことの大切さ  

   (5)自分が変わることから社会を変える  

コラム① 介護のしやすさという発想(鯵坂誠之)

コラム② 障がい者と家族(鎌倉義雄)

〈第2部 教  育〉  
第3章 学校の「フツウ」のなかにある平等と不平等
    ――決まりを守ること・能力に応じた進路に進むこと(土田陽子)

  1 学校の「フツウ」  

  2 「決まりを守ること」  

   (1)丸刈り訴訟  

   (2)黒染め強要訴訟  

   (3)学校はなぜ毛髪をコントロールしようとするのか  

   (4)二つの訴訟の争点  

   (5)謎ルールの増加と学校が考える「平等」な指導  

  3 「能力に応じた進路に進むこと」  

  (1)医学部入試における選考基準問題

  (2)進学・非進学の平等と不平等  

  (3)能力に応じた進路に進めないのは誰の責任か?  

  4 今、起こりつつある変化 

第4章 学校の外でも学び・過ごせるために
    ――学校に行けない・行かない子の権利の保障を考える(藤根雅之)

  1 不登校への感覚  

   (1)ちゃんと学校に行かないなんてずるい  

   (2)フリースクールに行くなんてずるい  

  2 「ずるい」をちょっと考えてみる  

   (1)理不尽なルールによって作られる「ずるい」やつ  

   (2)理不尽なルールへの「逃げる」という対処法  

  3 フリースクールという自治の空間  

   (1)自分たちでルールを「作る」  

   (2)フリースクールでの過ごし方  

   (3)フリースクールの難しさ  

  4 学校に行かないことを「権利」として考える  

   (1)「逃げる」権利  

   (2)「自分たちで作る」権利  

コラム③ スポーツ・インテグリティーの確保・向上に向けて(橋爪 裕)

コラム④ 多民族社会ハワイにおけるダイバーシティ&インクルージョンの取り組み(東 優子)

〈第3部 性〉  
第5章 「トランスジェンダー・ライフ」
    ――いわゆるトランスジェンダーの弁護士として(仲岡しゅん)

  1 戸籍上は男性の「女性弁護士」  

  2 トランスジェンダー、LGBT、とは  

   (1)「トランスジェンダー」  

   (2)「LGBT」  

   (3)「性同一性障害」  

   (4)性のありかたの多様性  

  3 アイデンティティーの変遷  

   (1)趣味・嗜好とジェンダーバイアス  

   (2)子どもの頃の自己像  

   (3)異性愛者でも、同性愛者でもない自分  

   (4)「仲岡くん」から「しゅんちゃん」へ  

  4 トランスジェンダーと社会の障壁  

   (1)日常と社会的障壁  

   (2)学校とジェンダーバイアス  

   (3)トランスジェンダーの法律問題  

   (4)可能性としてのトランスジェンダー 

  5 おわりに(トランスジェンダーの意識を) 

第6章 「合意」が大切!
    ――身体を用いたコミュニケーションの基礎知識(中山良子)

  1 関係/生き方の多様性  

  2 性別?  

  3 異性間のセックス――妊娠週数・安全日?・避妊  

   (1)妊娠三か月?――妊娠週数の数え方を知る  

   (2)安全日ってあるんですか?  

   (3)避妊  

  4 性感染症  

  5 人工妊娠中絶のことも知っておこう  

  6 「明確で自発的な合意」をめぐって 

   (1)紅茶ならわかる。じゃあ、セックスなら?

   (2)刑法と性暴力  

  7 関係を真摯に編むために  

コラム⑤ 男性の育児休業(楢崎 亮)

コラム⑥ 心とからだのプロフェッショナル!? 養護教諭って何だ!?(高橋 舞)


〈第4部 労  働〉
第7章 「最底辺」から建設業界を支えてきた労働者たち
    ――釜ヶ崎(あいりん)地区日雇建設労働者の闘い(住田一郎)

  1 釜ヶ崎(あいりん)地区ってどこ?  

  2 活気に満ちていた労働者の町  

   (1)大阪万博を支えた労働者たち  

   (2)活気づく釜ヶ崎  

   (3)俺たちも人間ぞ!  

  3 働く者の権利と誇りを勝ち取る闘いへ  

   (1)西成労働福祉センターの設立  

   (2)青空労働市場の改善に向けて  

   (3)力を合わせて――労働組合とセンターの協同  

   (4)労働者を守る制度を!  

  4 路上に放り出された労働者たち  

   (1)バブル崩壊――野宿者の急増  

   (2)野宿のおっちゃんたちを路上から住まいへ  

  5 労働者、そして労働とは  

第8章 苦手なことがあっても働ける
    ――「合理的配慮」って何だろう(松波めぐみ)

  1 「できる」から働ける?  

  2 「できない、できる」を考える――ふたつのエピソードから  

  (1)講演の後で、びっくり

  (2)Bくんの夢はどうなる?  

  3 「合理的配慮」とは何か?  

  (1)新しい法律  

  (2)差別の禁止とは? 

  (3)「合理的配慮」とは何か  

  (4)合理的配慮と「社会モデル」  

  (5)身体の不平等が「人生の不平等」にならないために  

  4 こんなふうにして働いている――さまざまな「障害のある先生」  

  (1)聞こえにくいC先生  

  (2)車いすを使用するD先生  

  (3)視覚障害(全盲)のE先生  

  (4)手に軽度の障害があるF先生  

  (5)学習障害のあるG先生  

 5 できなくても働ける社会へ  


コラム⑦ 誰のための福祉機器製作か(金田忠裕)

コラム⑧ 「とかいなか」での暮らしと仕事(伏見裕子)


〈第5部 ルーツ〉
第9章 外国にルーツをもつ「日本人」のこと
    ――移民や外国人が住みやすい社会に向けて(片田 孫 朝日) 

  1 日本と朝鮮の二つのルーツへ  

  2 朝鮮半島からの移民  

   (1)祖父母の生い立ち  

   (2)移民としての在日朝鮮人  

   (3)植民地からの移民の外国人化  

   (4)日本の移民・外国人政策  

  3 「孫正義」という名前の「日本人」が生まれるまで  

   (1)朝鮮部落に生まれ、身元を隠す  

   (2)孫正義という日本国籍者が生まれるまで  

  4 わたしの名前とKFCでの活動  

   (1)自分で新しい名前を創る  

   (2)神戸定住外国人支援センターの活動と日本のこれから  


第10章 水の源、水を守る人々
    ――インド、ケララ州の社会運動の現場をめぐる(春日 匠)

  1 世界各地の社会問題を巡る旅へ  

  2 「世界社会フォーラム」のテントを訪ねる  

  3 手づくりの水道  

  4 水は誰のものか  

  5 「人類の未来」への想像力をもとう  


コラム⑨ アボリジニ、そしてアイヌ民族との出会いから(宮崎紗織)

コラム⑩ 広島原爆と「在外被爆者」(木村尚子)


終 章 「あたりまえ」を問う(中田裕一)

  1 差別や排除の背景にあるもの  

  2 運動の「あたりまえ」  

   (1)歩けるのは「あたりまえ」?  

   (2)運動の形式  

  3 文化の「あたりまえ」  

   (1)文化の本質  

   (2)価値観  

  4 「あたりまえ」を変えるには  

   (1)当事者からのスタート  

   (2)問い直す勇気  


おわりに  


INFORMATION

『ふらっとライフ』は、大阪府立大学工業高等専門学校で取り組まれている人権&セクシュアリティ教育「ふらっと高専」の指定教材です。


「ふらっと高専」について

みなさんにとって「居心地のよい社会」とは、どんな社会でしょうか。

社会のなかにある理不尽さについて、疑問をもったことはありますか。また、自分が生まれながらに持っている権利について考えたことがありますか。

大阪府立大学工業高等専門学校では、「理不尽ではない普遍的な社会の土台を私たちが築くこと」を目指し、人権教育年間計画「ふらっと高専」を定めています。五年間かけてさまざまな視点から人権について考え、多様性を尊重し合える人材を育てます。